私も含め、多くの人達が多くの時間「今、ここ」に意識が向かず、必要以上に過去や未来に意識が向いてしまっています。

ストレスがあまり無くて心も体も良い状態なら、いい事を思い出せたり、良い未来を描いたり、語ったりもできるでしょう。
しかし、疲れが溜まっていたり、不調の時、またはストレスとなる出来事に出くわした時などは、嫌な事を思い出して出来事を繋げて「悲劇のヒロイン物語」を作ってみたり、未来の心配事を繋げ「不安物語」などを創作してしまいます。

例えば、「会社で上司に挨拶したが無視された」「学校で友達や先輩に挨拶したが無視された」。誰でもよくある事です。
「あっ、気づかなかったのかな?」、これならここで終了で問題にもなりません。こう考えられる時もよくあります。
しかし、「えっ、もしかしたら私何かまずいことした?」「えっ、嫌われてるの、私?」、「何で?」って思うと「お悩み物語」や「不安物語」が開幕です。

挨拶をしてくれなかったことは事実です。→「えっ、もしかしたら私何かまずいことした?」これは想像です。
しかも勝手に浮かんでくる想像の思考(自動思考なんて言います)。更に人はここから「そう言えばこの前のあの言い方、まずかったかな?」「あの時、断ったから怒ってるんだ」と、物語をどんどん作り上げてしまいます。

更に、「あの人に嫌われたら・・〇〇も困る・・〇〇に迷惑かける・・〇〇さんにも嫌われるんじゃないか」。
物語をどんどん作り上げていきます。

もう一度言います。挨拶をしてくれなかったことは事実です。その先は想像です。過去の記憶を当てはめたり、未来の不安を想像したりして創作したものです。しかもあなたがしたくてしてしまうものではなく、勝手にどんどん物語を作り上げ、「私なんてどうせ皆に嫌われる存在なんだ」、こんな物語を作ってしまうかもしれません。
最終的に「この先も人に嫌われて、人間関係に悩まされるだろう」といった未来に希望が持てなくなってしまうかもしれません。

アメリカの実験ですが、「あなたは何が心配ですか?」「あなたには今後何が起こると思いますか?」と、二週間分記録してもらいました。
その後、その予測と実際に起きた結果を照らし合わせてみると、97%もの心配事がただの思い過ごしだったことが判っています。更に心配事の85%で悪い事を予想していたにもかかわらず、実際は良い事が起きたと言います。
このような事が解って「なーんだ、そうか。じゃあ心配いらないな」と思えればいいんですが、人はなかなか事実を知っただけでは物語を勝手に創作してしまう自動思考は止まらないものです。

しかし、こういった事実もあると、まずは認識する。頭の隅にでも置いといて下さい。(笑)