この方は江戸時代の方で、古事記、万葉集などの日本の古典を研究して、日本固有の思想や精神を究めようとする学問である国学の有名なスペシャリストです。

また、国学だけではなく文献学者でもあり、朱子学、漢学などにも精通し、更にお医者さんとして開業されていた人です。

※1文献学(文章を理解するための歴史、文化、言語を研究する学問)
※2朱子学(儒教の新しい学問体系、故に儒学でもある)
※3漢学(中国の学術や、中国に関する学問の称)

本居宣長さんについて更にもう少しだけ見てみましょう。

1730年に現在の三重県松坂市に木綿商の子として生まれます。京都で医学を学び松坂に帰京した宣長さんは、昼は医者、夜は町の人に和歌や源氏物語を教えたり古典を研究して過ごされたようです。


そして以前より感銘を受けていた賀茂真淵さんと新上屋という旅館で会ったことがきっかけとなり、6年間手紙でやり取りし、教えを学びました。それと同時に、共に古道説を唱えて体系づけたと言われています。

古道説とは、一口に言えば「日本古来の純粋で素朴な日本人の精神」を重んじる考え方を言います。

宣長さんは「古事記」などの古典を紐解いた結果、「神の意志に従い、素直に生きることこそが古代の日本人の道であったのだ」という考えに至ったのでしょう。